債権回収にかかった弁護士費用を相手に払わせたいんだけど、どうなの?

債権回収

取引先が代金を支払わず、再三請求してきたが、どうにもうまく進まない。
そこで弁護士に依頼して債権回収を進めることにした。
なんとか弁護士には頑張ってほしいところだが、この弁護士費用も相手に払ってもらえないだろうか。。。
そもそも相手がスムーズに債権回収に応じれば、弁護士費用だってかからなかったはず。。。

これはよく受けるご相談です。
払わない相手が悪いのに、なんで自分が弁護士費用を負担しなければならないんだという気持ちは、たしかにその通りです。私も依頼者だったらきっとそう思います。

ただ、実際はそうならないのが歯がゆいところです。

弁護士費用は自分で負担するのが原則

債権回収が滞ったとき、そのアクシデント自体には、自分に原因はありません。
けれどそのアクシデントに対して、どのような対策をとるのか(自分で進めるのか弁護士に頼むのか、弁護士に頼むとしてどの弁護士にいくらの費用で頼むのか)は、ご本人の判断によるものであり、その対策費用は自分で負担すべきというのが主な理屈です。納得感あるでしょうか。

たしかに弁護士費用もいろいろですから、相手としても、かかった費用を全部払えと言われたら、どんな弁護士費用が乗っかってくるか分からないですから酷ともいえます。
なので、債権回収で弁護士費用もあわせて請求するのは、原則としてできません。

…原則?
ということは例外もあり?

はい。
判例は、交通事故などの不法行為において、賠償金額の1割相当額を弁護士費用として請求できると判断しています。

交通事故などでは、どんな人かも知らない相手にけがをさせられたのだし(債権回収のように取引相手を選べない)、自分の被害や相手の加害行為を丁寧に主張立証しなければならず、それを一人でやるのは大変だろうというのが主な理屈です(同程度に大変だという理由で契約不履行でも安全配慮義務違反などでは請求できるとされています。)。

そうなのですが、売掛金や請負代金などの債権回収の場面では、弁護士費用を相手に払わせることは原則できないと考えた方がよいです。
ですので、最近は、弁護士費用を出してくれる保険も増えてきています。
弁護士費用の出費自体も将来のリスク管理にいれておくのがよい、ということなのですね(^^)

最後に簡単に整理しておきます。
・債権回収(契約不履行)→弁護士費用の請求NG
・不法行為→OK
・不法行為と同程度の主張立証が必要な契約不履行→OK です。

ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
少しだけ自己紹介にお付き合いください。
私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。

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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
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