弁護士の仕事・その11「伴走する力」

弁護士の仕事

労働審判はいいです。
プロセスが見えるし、解決まで早いし、ご本人が裁判官と直接対話ができます。

普通の訴訟だと、最初の数回は、裁判所に行っても、「では次回までに反論書面を用意します」だけで終わってしまい、それを1か月に1回のペースでやってるから、なかなか進みません。
数か月たって双方の言い分が出尽くした頃に、ようやく裁判官が「そろそろ和解の話をしましょうか」となります。ですので、依頼者としても、裁判が始まったところでどう進んでいるのか分かりにくいところがあります。

これに比べて、労働審判では、申立人は、最初から全部の主張と証拠を出し切ります。
相手方も最初の回までに、できる限り出し切ります。
対象となるのは、未払賃金の請求や解雇無効の請求など、初回から主張と証拠を出し切れる複雑ではない事案です。

そうすると、第1回目が開かれた時には、裁判官(正式には労働審判委員会)は、おおよその心証(判断のイメージ)をもって登場します。
そのうえで、書面では伝わりにくいところや、具体的にイメージしたいところをピンポイントで質問してきます。
それに対してこちらは、その場で質問に答えて、裁判官の心証をリアルタイムで作っていく必要があります。なので、必ず依頼者と一緒に出席します。
依頼者は現場を経験し、事実を知り、思いを込めます。これは代理人にすぎない弁護士は語れません。
けれどもご本人は緊張のあまり、うまく話せないこともあります。話すことに一生懸命で話がそれることもあります。これは法律専門家である弁護士が上手に軌道修正します。
そう、弁護士は、早すぎず、遅すぎない、依頼者の「伴走者」であらねばなりません。

このやりとりのなかで、裁判官の「それはつらかったでしょうね」とか「なるほどよく分かります」という言葉は、ご本人にとってこの上ない励みとなり慰みとなります。

そして早いうちに裁判所から調停案(和解案)が出され、2~3回目の期日で決着することが多いです。
勝った負けたではなく、出席者全員が納得して解決に到達し、最後に「ありがとうございました」と申立人と相手方と裁判官の三者が同時に頭を下げる瞬間は、当初の亀裂を考えれば感動的ですらあります。

このように、弁護士は(私は!)、依頼者が自分の力で、自分のペースで、自分の人生を走れるようになるための伴走者でなければならないんだ、というお話でした。
つづく(^^)

弁護士 波戸岡光太
その思い、前に進める法律家。
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